〜イースト暦1758年〜

「この子を・・・この子をどうすればいいのでしょうか?」

赤子を抱いた女性が老人に尋ねた。

その女性は上品な顔立ちをしており裕福な身なりをしている。

彼女の名前はレイナ(麗菜)・J・クロフォード。

老人は険しい顔をし、重い口を開いた。

「この子を今ここに住ませるには危険すぎる。

しばらくはレイナ、おぬしの故郷で二人で暮らすのじゃ。

時がたてばこの子は必ずここへ戻って来る。

それまで待つのじゃ。」

「・・・やはりそれしかないのですね。」

レイナはうつむいた。

そして何か思いついたように顔を上げた。

「この子の名をどうしましょう?」

老人はそっと微笑んだ。

「それならもう考えておる。この子の名前はセリナ

セリナ・J・クロフォードじゃ。」

 


〜17年後〜

「いってきまーす。」

「いってらっしゃい。気をつけるんだよ。」

「うん。じゃあね。」

私の名前はセリナ・J・クロフォード、

普通の女子高校生です。

今は母と二人で暮らしています。

父は昔、交通事故で亡くなったと母から聞かされてます。

「おはよう、セリナ!!」

「あ!かれん。おはよ。」

彼女は葉桜かれん、私の友達。

「ねぇ、セリナ。」

「ん?」

「前から思ってたんだけど、セリナって変わった名前だよね。」

「どうしたの?いきなり。」

「髪もキレイだけど不思議な色だし・・・ハーフなの?」

「うん・・・たぶん。」

「たぶんって自分のことなのにわかんないの?」

「詳しいことは知らないんだ。」

「へ〜え。」

そう、私は日本に住んでるけどセリナ・J・クロフォードなんて変わった名前なのです。

私はいったい何人なんだろう。

そんなことを思いながらセリナは歩いていた。

「セリナあぶない!!」

いきなりかれんが叫んだ。

セリナはふと我に返り、右の方を見た。

すると、トラックが猛スピードで向かってくる。

「キャーーーーーーーー!!!」

もう間に合わない。

セリナは目を閉じた。

「セリナアアァァァーー!!」

ピタ

セリナには何がおきたかわからなかった。

いや、セリナだけではない。

かれんも、トラックの運転手もわけがわらず呆然としていた。

驚くべきことにトラックがあと数p、いや数oで止まっていたのだ。

 

そして、この出来事がセリナの冒険の幕開けとなる。